家政学部食物学科 平井智美助教と川澄俊之教授の共著論文が、2020年度日本農芸化学会BBB論文賞を受賞しました。
BBB論文賞は、日本農芸化学会英文誌「Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry(BBB)」に掲載されたRegular Paper, Communicationより毎年優秀な論文に授与されるものです。
受賞論文:Enhanced lactic acid bacteria viability with yeast coincubation under acidic conditions.(https://www.tandfonline.com/doi/abs/10.1080/09168451.2020.1756213?journalCode=tbbb20)
論文概要:乳酸菌による乳酸発酵は、多くの発酵食品や自然界において営まれる代表的な発酵様式です。乳酸発酵が起こっている環境は、乳酸産生によるpH低下ならびに乳酸分子による抗菌作用のために極めて過酷な環境にあって雑菌汚染を防ぐ効果が高いことから、発酵食品製造に古くから利用されてきた重要な加工技術となっています。
一方、このような環境下でも乳酸菌や酵母などの複数の微生物が生存し何らかの作用を発揮していることが知られているなど、乳酸酸性環境下における微生物間相互作用には不明な点も多いのが現状です。
本論文では、この乳酸酸性環境下に特異的な微生物間相互作用を明らかにすることを目的に研究を行い、乳酸酸性下である種の乳酸菌と酵母が特異的に凝集すること、酵母の共存によって死滅が抑制される乳酸菌種があること、この死滅抑制効果には先の凝集現象は関与していないこと、そしてこの死滅抑制効果は乳酸菌の産生する活性酸素の酵母による消去作用によってもたらされること、等を解明しました。乳酸酸性化における微生物間相互作用には、まだ未解明な部分も多々ありますが、今回の結果が乳酸発酵における乳酸菌や他の微生物の有効利用に繋がるものと期待されます。
2020年BBB論文賞(https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_bbb_journal.html)